カテゴリ:不動産取引についてのイロハ / 投稿日付:2023/09/28 16:21
土地の地番を調べる資料として「公図」というものがあります。
地番とは、住居表示(郵便物の送付先などに使われる住所)とは異なり、
1筆ごとに登記された番号を指します。
地番=住居表示のケースもありますが、必ずしもそうとは限らないのがミソです。
このように、それぞれの地番が書かれています。
一般的な地図とも異なりますし、普段の生活では住居表示(住所)を使うので
見たことがない人も多いかと思いますが
不動産の取引では、とても重要な書類です。
今回は、そんな「公図」を歴史を踏まえて解説していきます!
□過去の公図
きっかけは、明治時代の地租改正により、政府の財政確保のため
それぞれの土地に価格を付け、課税するために作成されました。
(旧土地台帳附属地図と呼ばれていました)
そのため、地番を付けて、どこに何番の土地が分かれば事足り、
精度の高いものは要求されておらず、面積、距離等はアバウトなものでした。
一般人が測量し、尚且つ、測量技術も当然今より劣るということもあるのですが
課税額を低くするため、あえて面積を小さく測量していたのでは…
という見解もあるのです。
ちなみに、課税目的で作られたもののため、公共のものである道路や水路には
地番がつけらませんでした。
□現代の公図
実は現代でも、精度の低いこの旧土地台帳附属地図をもとに出来た
公図が地番を調べる材料として用いられます。
↑にアップしたものがその例ですが、そもそもの旧土地台帳附属地図は
当初、和紙で作られ、尚且つ何度も書き換えたものを
現在、電子化しているため、精度としてはかなり低いでしょう。
図面の下には
分類「地図に準ずる図面」
種類「旧土地台帳付属地図」
とかかれています。
一方で、政府は、日本全国の土地の地籍調査を行い
正確な測量技術で、位置、境界などを名確認する、
「不動産登記法第14条第1項」に従い
精度の高い図面の作成を進めています。
私たちは、一緒くたに「公図」と呼んでいますが
正確には、前者(精度の低い公図)を「地図に準ずる図面」
後者(精度の高い図面)を「14条地図」
と分類します。
「新しい地図」とかにしてくれたら分かりやすいのにと思います。
□14条地図の普及
徐々に「地図に準ずる図面」から「14条地図」に塗り替えようという働きですが
この14条地図が備え付けられている割合は、全国で55%程度と言われています。
我が徳島県では、少し古いデータですが約33%(平成26年度時点)と、
全国的にもまだまだといった印象です。
14条地図の普及が進まない原因として
地方公共団体の財政難、所有者(相続人)の所在が分からない
高齢者のため立ち合いができない、地籍調査の意義、効果の理解が今一つされていない。
等が挙げられるでしょう。
徳島県では、令和4年度、5年度の事業として
徳島市中常三島町、南常三島町、助任本町等のエリアで
この14条地図作成が進められています。
東日本大震災のような大きな災害のあと、土地の境がわからず
復旧にかなり時間がかかっていたようですが
境界確定は、XY座標を用いて境界を定めるため
例え、境界がわかない事態に陥ってもすぐに自分の土地が把握できるでしょう。
また、境界確定を自分でしようとするのと、とてつもない時間、費用がかかりますから、
このタイミングで隣地との境界を確認できることは、土地所有者の方或いは相続人の方に
とっても有益なことかと思います♪
境界確定には、土地所有者の方の協力が必要不可欠ですから
皆様是非ご協力をお願いします(^-^)!
□まとめ
公図の話より境界確定の話メインみたいになってしまいました
が、公図を知る上では必要不可欠な事です!!
皆様の協力があれば、お住まいの地域の公図も
「地図に準ずる図面」から「14条地図」にアップグレードされますよ^^
今回の記事が皆様のお役に立てると幸いです。