カテゴリ:お役立ちコラム / 投稿日付:2022/06/14 06:00
不動産の相続について、全員が相続放棄をした場合は誰が管理するのか疑問に思ったことはありませんか。
今回は、相続放棄後の管理義務や、義務が発生する期間について解説します。
□相続放棄後の管理義務とは?
身内の方が亡くなると、遺産分割協議を行うご家庭も多いでしょう。
しかし、遺産と同時に負債や債務を相続してしまう場合もあるでしょう。
そういった理由から、遺産の相続放棄を決断される方も少なくありません。
ただし、不動産の相続放棄をしたからといって、全ての管理義務がすぐになくなる訳ではありません。
民法940条1項によれば、たとえ不動産の相続放棄をした場合でも、他の方が相続し管理ができる状態になるまでは管理義務を負うとされています。
例を挙げると、不動産を所有する夫が亡くなり、かつその妻と両親もすでに他界しているとします。
この場合、その子供達の相続順位が高くなりますが、もし子供達が相続放棄したとすると、夫の兄弟が相続することになります。
しかし、夫の兄弟が十分に不動産を管理できる状態になるまでは、子供達が管理責任を負わなければなりません。
さらに、管理だけでなく他の相続人への事務処理状況の報告や、受け取り物の引き渡し、家庭裁判所から命令があった場合の保存処分なども行う義務があります。
□管理義務が発生する期間はどのくらい?
相続放棄をした場合でも、管理義務が発生することをご理解頂けたでしょうか。
ここからは、そんな管理義務の継続期間についてご紹介します。
管理義務の継続期間の考え方には、2つのパターンが存在します。
まず、他の相続人がいる場合です。
この場合、管理義務の継続期間はその相続人が管理できる状態になるまでの期間になります。
「管理できる状態」について、もう少し詳しくみていきましょう。
例えば、被相続人の子供が相続放棄をし、次の順位である被相続人の妹が相続するとしましょう。
しかし、被相続人は子供による介護を受けており、その背景もあって子供が被相続人の通帳やカードを預かっていたとします。
この場合、被相続人の妹が「管理できる状態」になるのは、被相続人の子供から通帳やカードを受け取り、口座を完全に管理できるようになってからです。
ただし、どこからが「管理できる状態」であるかは、その時の状況にもよるでしょう。
一方、誰も相続人にならない場合は、相続放棄をした方々の代わりに管理する方が現れ、管理できる状態になるまで管理義務が生じます。
ちなみに、全ての相続人が相続放棄をした場合には、最後に相続放棄をした方が管理義務を負うこととなります。
□まとめ
相続放棄をしても管理義務が発生することに、驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
不動産の管理を怠ってしまうと、事故や事件の現場となってしまう可能性もあるため、管理義務が課された場合にはしっかりと対応しましょう。
不動産の相続についてお困りでしたら、いつでも当社までご相談ください。