カテゴリ:不動産取引についてのイロハ / 投稿日付:2023/06/08 13:57
以前のブログで「遺留分」について触れました。
相続について②
これは、法定相続人がもらえる最低限の遺産の取り分を指します。
今回は、「遺留分」について深堀りしていきたいと思います!
□遺留分は何故あるのか
法定相続人や相続割合は、法律で定められていることを
これまでの記事で解説してきました。
法定相続人は、一定の財産が与えられることになっているのに
何故「遺留分」というものがあるのでしょうか。
例えば、被相続人が
「遺産は全て愛人へ」と遺言書に残した場合に、
他の法定相続人は、当然、納得いかないことになります。
そんなとき、法定相続人は、「自分は最低限の遺産の取り分がある!」
と権利を主張することができるのです。これが遺留分です。
遺言があったとしても奪えない権利なんですね。
ただし、法定相続割合とは、大きく異なることがあります。
□法定相続分と遺留分は別モノ!!
法定相続と遺留分の違いとして以下のことが挙げられます。
①兄弟は範囲外
法定相続人は、配偶者、直系尊属、直系卑属、兄弟の4種類でしたが
遺留分には、兄弟が含まれません。
つまりは、甥、姪も対象外となります。
兄の相続人は、弟である自分だけだ。という場合でも
遺言書があれば、全てその通りになります。
つまりは、兄弟には1円も相続されない可能性もあるということです。
また、いうまでもないですが、相続欠格に値する人物は、
遺留分の請求はできません。
②割合
遺留分では、法定相続割合の1/2しか請求できません。
(相続人が直系尊属しかいない場合は、1/3)
どういうことか、具体例でみてみます。
被相続人であるAさんは、財産が3,000万あり
法定相続人は、妻、息子、娘 の3名だとします。
本来であれば、相続割合は↓このようになります。
妻……1/2 1,500万円
息子…1/4 750万円
娘……1/4 750万円
しかし、遺言でAさんが財産を全て赤の他人Bに譲ると書き残した場合
相続人たちは、以下の割合(金額)でBに請求できるのです。
妻……1/4 750万円
息子…1/8 325万円
娘……1/8 325万円
といったように、半分にはなりますが
遺言書があるからといって、全ての財産が一定の人物には渡らない
ようになっているんですね。
③時効がある
遺留分では、遺産を侵害するような贈与や遺贈があった場合
それを知った日から1年以内に贈与遺贈を受けた相手に対して
請求しなくては、時効によって効果が消滅してしまいます。
または、除斥期間といって、相続開始の時点から
10年経つと遺留分を行使できなるくなるので注意が必要です。
そのまま何もせずに放置しておくと遺言書通り
あるいは生前贈与したものが
そのまま戻ってこない事になるんですね~( 一一)
□まとめ
今回は遺留分について解説しました。
被相続人の自由な意思を尊重したいところですが
残された遺族たちのために「遺留分」という権利は
大事なものになってきますね。