カテゴリ:不動産取引についてのイロハ / 投稿日付:2022/11/02 16:00
不動産の売買契約をするとき、手付金と呼ばれる金銭を買主から売主へ支払います。
ただの契約時に必要なお金でしょ~と思われるかもしれませんが
不動産取引においては、かなり特殊な性質をもつお金であります。
今回お話ししたいのは、契約をした後、「やっぱり契約を白紙にしたい」と思ったときの
手付金の行方です。
頻繁に起こるようなことではありませんが、事前に知っておくとちょっと安心!?なお話です。
□手付金とは
重複しますが、手付金は、契約時買主から売主へ支払う金銭のことを指します。
一般的には、契約金額の10%程が支払われます。
この手付金は、契約時に支払いますが、通常は取引時に売買代金に充当される金額なので
金額によって損得があるものではありません。
契約の前に、申込みをされる方もいらっしゃるかもしれませんが、
申込み自体には法的拘束力はありませんので、これから説明する内容とは別物なのでご注意ください!
□解除するときの手付金の性質
契約をした後に、もっといい他の物件がでてきたから契約を取りやめたい(解除)
と考える人も中にはいらっしゃるかもしれません。
相手方が履行に着手
(買主→残代金の支払いor売主→引き渡し、建築材料を発注をする等)
をする前であれば下記の方法で契約を解除することができます。
◎買主から解除を申し出る場合
手付金を放棄することで契約を解除することができます。(=手付流し)
◎売主から解除を申し出る場合
手付金を倍返しすることで契約を解除することができます。(=手付倍返し)
やっぱりやーめたと気軽にできるものではなく、いずれの申し出に関しても
ペナルティがある行為になります。
それだけ契約とは重く責任を伴う行為なんですね。
ただし、契約後に住宅ローンの審査に落ちてしまった場合
買主の事情でキャンセルするわけではないので、通常は手付金は戻ってきますので
ご安心ください。
□売主が倒産してしまったら
売主が業者である場合、契約から取引をするまでに倒産してしまうという
可能性も0ではありません。
買主は、目的物だけでなく手付金までも戻ってこない可能性もあるのです…。
そういった最悪の事態に備えて、
手付金が売買代金の10%(未完成物件は5%)または1,000万円を超える場合
保全措置といって買主を保護してくれる救済措置がとられます。
金融機関などの第三者機関が保証してくれるのでご安心いただけたらと思います。
□手付金の相場
手付金は、一般的に10%で支払われることが多いです。
また、売主が宅建業者で買主が一般のお客様の場合は、手付金は20%と
上限が定められていますが、しかし、下限が決められていないのです。
ここまで話すと「手付金少ない方がリスクすくないやん。」
と思われるかと思いますが、そうすると逆に売主から
解約されるリスクが高くなるということになります。
例えばですが、売主Aと買主Bが500万円の手付金5万円で売買契約をしていたが
後に「1,000万円だすから購入したい」というCが現れたとします。
(あくまで例えばの話で滅多にある話ではありません笑)
Aは倍返しで10万円をBに支払ったとしても、
Cに購入してもらった方がAの利益は多いですよね。
そうです、Bが残代金を支払う前であれば、Aが手付倍返しをすると解約せざるを得ないのです。
高すぎる手付金もあまりに低すぎる手付金もリスクがあるというわけで
契約金額の10%程度が主流となった一つの要因かもしれませんね。
□まとめ
今回は不動産取引における手付金の性質についてお話しました。
倍返しや倒産など、しつこいですが滅多にあることではありません!
ただ、絶対にないとは言い切れな事なので、リスクを知りつつ、
反面安心して不動産の取引をしていただけたらと思います(^^)
今回のお話は、契約時、書面で説明する事項ばかりなので
事前情報として知っていると説明もすっと入ってくるかもしれません♪